1mm.

nonfiction

夏のせい。

きっとそうだ。

 

あの子がドアノブで逝ってしまった日のことが

今だにわたしの瞼に焼き付いているのも

初めての痛みとか愛しさとか

舌先で感じた夏の味だとかそんなのも

真っ青な空と暑さと蝉の声と

真夏特有のアスファルトが焦げる匂いと

そんなざらっとした記憶のせいだ

 

夏はどの季節より眩しくて

眩しすぎるくらい鮮やかで

 

強かで細やかで、絶対に離れてくれない

 

みんな少し熱に侵されていて

少し浮ついていて

なんとなくわたし一人だけ

夏に溶け込めないような気持ちになる

 

それでも夏はわたしの隣にいつの間にか来ていて

クーラーの効いた部屋で食べた

甘ったるいアイスの味とか

室内で冷えた体を包んでそのまま

蒸発しそうな熱気とか

 

そんなのでわたしをぶん殴る

 

一番明るい顔して

一番切ない季節だね

 

お祭りの後の一人ぼっちに耐えられなくて

よく宇宙に投げ出されては泣いていた

 

エモいなんてよく言うけど

便利な言葉だから多用しがちだけど

 

私の中の" なつのえもさ "

というものの根底には

夏特有の切なさがある

 

みんな夏が終わってしまうことを知っているし

夏であるだけで楽しまなくてはいけない

プレッシャーがあって

 

 

 

あと、そうだ。

 

私にとって夏は別れの季節で。

 

 

 

 

そう。

初めて死というものを手にとって

感じて苦しんで愛おしん

それを通して生を知ったのが

小学一年生の夏だった。

 

私の記憶の一番古い夏は

あした会いに行けるはずだった

大好きな人が死んだ夏。

 

夏はとっても楽しい。

楽しいはいつか終わる。

 

いつもいつも寂しさに負ける。

 

そして私は夏にたくさんの別れと

愛しい記憶を置き去りのまんま

毎年進んでいくから

毎年温度や匂いが

忘れんじゃないぞ。

お前の人生だぞ。

 

って大声で揺さぶりに来る

 

大好きな季節。

 

一番苦手で大好きな季節。

 

今日の最高気温は33度らしい。

 

今年も始まったね。

 

まだ梅雨も明けてないのに。

私が忘れていくから年々夏は早く私を迎えに来るね。

 

嫌なやつ。

憎めないけどね。

 

今年は10代最後の夏だってさ。

平成最後の夏だってさ。

 

寂しくて死んじゃいそうだよ。

 

まだ子供でいさせて。

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